2008年01月26日

医療事故を取り扱う第三者機関の設立をめざして

~『医療事故を取り扱う第三者機関の設立をめざす1・19シンポジウム』~

 去る1月19日、東京で開催された『医療事故を取り扱う第三者機関の設立をめざす1・19シンポジウム』に参加しました。基調報告は小西恭司氏(全日本民医連副会長)が行いました。
 シンポジストは、上氏(現場からの医療改革推進協議会)、渡利氏(日本ヒューマンファクター研究所)、柴田氏(淀川キリスト教病院)、平柳氏(東京女子医大病院心臓手術事故の被害者遺族)と、様々な立場の人たちから多様な意見を聴くことが出来ました。
 特に、10月に厚生労働省が出した『診療行為に関連した死亡の原因究明等の在り方に関する試案の中の行政処分、民事紛争及び刑事手続きにおける判断が適切に行われるよう、これらにおいて、委員会の調査報告書を活用できることとする。診療関連死の中にも刑事責任を追及すべき事例もあり得ることから、警察に対して速やかに連絡される仕組みとする』という点に議論が集中しました。
 この厚労省案がそのまま通れば、第三者機関が問題があると判定した事案すべてが刑事処分され、処分が急増し、急速に医療崩壊が進むことが考えられます。
 全日本民医連の意見としては、個人の責任は追及しない前提から「委員会の調査報告書は、基本的に刑事手続きへの活用は不可とすることは必須です」との意見を厚労省案に対して出しています。
 しかし、平柳氏(被害者遺族)からは、医師だけ業務上過失致死から除外するというのは、コンセンサスが得られないとの意見も出されました。上氏は「厚労省案は構造的にチェックがかからず暴走する」と話していました。
 安全・安心・良質な医療を実現する目的でつくったものが、暴走により多くの逮捕者が出て、病院から医師・看護師・技術スタッフがいなくなり、更に現場は厳しくなり、事故は増え、 逮捕者が増え現場から人がいなくなる。そんな悪循環が起こらないよう、しっかりとした第三者機関をつくるため、今後の運動が重要です。
(沖縄協同病院副院長 高嶺朝広)



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Posted by 沖縄民医連 at 11:45│Comments(0)医療安全・医療事故
 
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